月に願いを
「結姫との外出もしばらく出来なくなろう」

清鷹は重臣の息子。
父親を手伝い、この国を守るために忙しくなるのだろう。

「そうか…。寂しいの…」

ポツリと言った結姫の言葉に内に秘めていた想いが零れそうになって抱き締めたい衝動に駆られた清鷹はその想いをどうにか閉じ込めて告げた。

「そろそろ戻ろうか。志乃が心配しているだろう」

頷き馬に乗った結姫を清鷹は来た時と同じように守りながら城へと向かった。





その日の夜。

結姫は細い月明かりを浴びて空を眺めていた。

もし、戦になれば清鷹も出陣するのだろうか。

武芸に秀でている清鷹が出陣しないはずがない。

父上も清鷹を頼りにしているだろう。

戦にならなければいい。

そう願わずにはいられない結姫だった。
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