絶対純愛主義
「離れて歩いてよ。あんたといると悪目立ちすんのよ」

冷たく突き放すような私の言葉にも全く気にする様子は見られない。

「何だよー。真帆の周りの男って俺だけだろー?もっと大事にしろよー」

「お父さんだっているもん。別にあんたが地球上唯一の男って訳じゃない」

「オジさんは身内だろー。俺は身内以外の男の事言ってんの」

呆れた顔で私を見る貴斗の口元は相変わらず弛んでる。

「あんただって身内と一緒でしょ。赤ちゃんの頃から見てんだから」

貴斗と並びたくなくて歩く速度を上げるけど貴斗の一歩は私の二歩分で全く引き離す事が出来ない。

あー、イライラするっ!

「朝っぱらからあんたと不毛な会話をするつもりはないの。さっさと先に行きなよ」

「はいはい」

貴斗はため息をついて私から離れたので私はホッと安堵した。
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