~ 桜 星 ~
信号を渡り
雷門を目の前にして
私は二人より少し前を歩いていた。
本当は隣りで歩きたかったけど
あまりにも人が多いので
横に並ぶと迷惑になるから
私が少し前を歩いていた。
まさか
それで男性に声をかけられるとは思っていなかった・・・。
呑気に
「この後どこがいいのだろう?」
と思いながら歩いていたら
「おねえさん」
と目の前に男性が立って私を呼んでいた。
私は立ち止まり
それを見ていた友達二人は慌てて私の隣りに来て
友達の一人は男性と話
もう一人の友達は
私の前に立ってくれた。
男性は人力車の人だった。
私たちを人力車に乗らないかと
誘いに来たみたいだった。
友達が営業スマイルで懸命に応対しているのに
私は恐怖が先に走り
目線を下に下げ
私の前に立ってくれた友達の上着を掴んだ。