僕らの宇宙戦艦奮闘記


「艦長!私、主砲撃ちたいです!」


「却下。」


 いきなり、何を言い出すんだ?この操舵手は?


「とりあえず、約9000メートル。9時30分方角なら、撃っても大丈夫だぞ」


 答えたのは、レーダー監視員村山くん。


 見張りは、基本、すべての部署が『兼任』という形なのだが、レーダーだけは特別に見る係が必要なのだ。


 ある意味、見ているだけの部署というのは、うらやましいと言えばうらやましいが、本人も言うとおり、はたから見てても、暇そうであることは確かだ。


 まぁ、レーダーだって、様々なものを同時に捉えるから、それを一瞬で理解してそれが、何であるのかを認識するのは、専門知識が必要な部署なのだけど。


「ほら、村山君もそう言ってるし。」


 だからなんだよ?


「それで、撃てるか!ホムラの射程はウン万キロだぞ!」


 むろん、加減して撃てば、そんなことはないのだが。


「高度、5000メートル到達ですわ。」


 なんだかんだ言いながらも、このお嬢様オペレーターが真面目で助かるよ。


「微速前進。航路東40度。くれぐれもずれるなよ。」


「な~んか、つまんないわ。だって、この航路だって、本来はうちらが決めたわけちゃうやろ?」


 当たり前だ。


 勝手に動いて溜まるか。


「そりゃ、日本航空や、自衛隊、アメリカ駐屯基地との兼ね合いもあるから、勝手に動くわけには行かないだろ?」


「ほんなら、主砲ぐらい撃ってもええんちゃうか?威力0.01パーセントでいいから」


「なんでやねん?」


 月すら、一瞬で壊滅できる、ホムラの主砲。


 威力制限は、必須だがやはり地球上で撃てるような代物ではない。


「艦隊巨砲主義はロマンやろ!」


「そーだ。そーだ。撃たせろ~!」


「…賛成。」


「黙れ、操舵手!司令官、あと、見張り係!」


 あぁ、やかましい。

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