指輪
そしてお互い顔を合わせ笑いあった。


『そろそろ帰ろう』と言ったときにはもう日が暮れていた。

歩いて帰ると1時間以上かかるあたしを気遣って

八尋は『送るよ』と言ってくれた。


帰り道はずっと他愛のない話を楽しんだ。


家までの道は八尋が覚えていてくれたみたいで

あたしに道を聞くことはなかった。

そんな些細な事がすごく嬉しかったの。


家に着いたときあたしはいつもどおり別れの挨拶をした。


「バイバイ」

って。

そしたら八尋は頬を膨らませ


「バイバイじゃなくて『またね』って言ってよ!!」

と言った。


あたしの頭の中は『?』でいっぱい。

こだわる所か・・・??


「バイバイって言われると

 『もう会わない』って言われてるみたいでやだ。

 またねって言うと

 『また会おう』って言われてるみたいでいいじゃん!!」


八尋はそう言い

「またね!!」

と手を振り帰っていった。

あたしも八尋に言われたとおり

「またね!!」

と大声で言った。



あたしはこの日を境に「バイバイ」と言わなくなった。

そして少しだけ物事を素直に受け止めることができるようになったんだ。

八尋パワーかな??
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