TO-KO
「―――すいません。こういうのは苦手で……」
「こういうのって………」
ウィリアムは何なんだと呟き、更に背中を丸めて小さくなる。
瞳子はただ申し訳ありませんとしか言えなかった。
「下手、トーコ、意外」
すると、いつの間にか瞳子の近くに、残りの種まきを終えたシンがクスクスと笑いながら近づいてきていた。
「確かに、何事もそつなくこなすタイプだと思ってた」
またウィリアムの方に振り返るとウィリアムはしゃがんだままで顔だけ上げていた。
その顔は珍しい物を見たような顔だった。
「本当に、苦手なんです。こういう生き物を扱うのは」
「生き物って…、種だぞ?」
ますますわからないと更に眉間にシワを寄せた。そんなウィリアムに確かに種なんですけどと、瞳子は苦笑いをするしかない。
「でも、トーコ、可愛い」
「可愛い、ですか?」
「うん。意外、でも嬉しい」
「??……はあ」
「アンタの事が知れて嬉しいって事だよ」
瞳子が、首を傾げていたのを下から見たウィリアムが、シンの言葉の意味をそっと教えた。ニコニコと、笑っているシンを見ていると温かい気持ちになる。
「ありがとうございます、シン君」
「うん」
「シン、手を洗ってこい。汚れただろ」
「うん」
そう言われて、シンは自身の泥の付いた両手を見た。
その必要性がわかったのか、パタパタと音が付きそうな走り方でシンは走っていった。