TO-KO
ふわり。
空気がそんな擬音を立てた気がした。
そう思った瞬間には、瞳子の右頬には少し熱い温もりがあった。
瞳子は再び目を見開いた。
ウィリアムの
彼の左手が、自身の頬に添えられていたのだ。
「―――知るべきなんだ。アンタは、アンタの目は俺達を惑わせる事を。アンタは俺達の心に大きな影響を与えた事を」
「え、影響――??」
グッと左手を引かれた。その左手は彼の首に無理やり回された為、ウィリアムとの距離が近づく。息が掛かってしまうくらいに。
「その橙色の瞳は…、俺を、俺達をおかしくさせる…ー」
ウィリアムの声が艶やかに瞳子の鼓膜を揺さぶる。
デジャヴだ――――
ああ、前にもこんな事あったなと他人事のように、ウィリアムの顔が近づいてくるのをぼんやりと見ていた。
『―――瞳子、アンタの瞳は特別だ。私達の国では珍しくない色なのに不思議だな。―――だから、ダメだ。神緯と私以外の男を惑わせてはー‥。そんなことしたら―――私は、殺してしまうかもしれない……』
――――――相手を、。
ぞくっと背筋が凍えた。
その感覚で瞳子はぼんやりとした意識を取り戻す。ウィリアムの顔はあと数ミリまで近づいていた。
心の中でごめんなさいと言いながらウィリアムの胸を思い切り突き飛ばした。
「うっわぁっ!!」
ウィリアムが間抜けな声を出して、思い切り尻餅をついていた。瞳子はそんなウィリアムを見ながら、頭の中は違う世界へと向いていた。