TO-KO



「やかましい。―――それよりよろしく頼むよ?君って結構、重要な役割なんだから」


《はいはい。言われなくても、ちゃんと報酬を払ってくれてるんだから、それ相応の働きはするわよ》


そうなのだ。
このミシェルという男(女?)は何気なくちゃっかりしていて、仕事の報酬は前払いだ。
今回も、こんなこともあるだろうと多めに支払っていた。だから、再依頼をすんなり受けたのだ。


「んじゃ、そういうことで」


《はぁーい。またご贔屓に〜》


電話を切り、マチルダは溜め息をつく。ミシェルと話すと疲れる。まぁ、話していて疲れない相手などいないが。気を取り直して行かなくてはならない。さて、何をしようとしていたのだったか。



「――――ああ、そっか。ペン先買いに行かなきゃね」



面倒くさいが、仕方ない。ペンは仕事上、なくてはならないものである。
側に掛けてあった毛糸のポンチョを持ち、出掛ける用意は万端。
マチルダはだるい体を動かし外へと向かった。
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