短編小説集
はるがくる
私の町でも、春一番が吹いたらしい
最近の気候は春になったり冬に戻ったりと忙しかったが、ようやく春に落ち着くのではないだろうか
春は、好きだ
暖かな気候は眠気を誘うし、誰もが意味もなくウキウキとし出すし、新しいことを始めようかなんて気にもなってくる
最高だ、四季の中で一番だ
「口開いてんぞ」
「...開けてんの」
「へー、そのアホ面を通行人に見せびらかしてんのか?」
オープンカフェも、この時期が一番気持ちいい
ホットコーヒーとサンドイッチが白くて丸いテーブルに手付かずで置かれている
それは別にこの男が来るのを待っていたわけではなくて、ただ単に"いらない"だけ
コーヒーなんて元々好きではないし、お腹が空いてるわけでもない
ならばなぜ注文したのかと言うと、"オープンカフェ"と"コーヒーとサンドイッチ"が私の中ではセット化されているからだ
春のオープンカフェでコーヒー飲みながらサンドイッチで昼食
かっこいい
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