アイ・マイ上司とlove★battle


入社時に受け取った辞令が、なぜだか経理部という数字と戦う部署だった私。



自慢では無いけれど、そんなに数字に対して苦手意識を持っていなかったのに。



今ではもう苦手意識すら持てていなかった、昔の自分に嘲笑と叱咤したい気分だよ。



新人というハンディを越えた無能社員には、お説教タイムが待ち受けているのに…。




「簿記2級…、よく取れたな?」


どうやら大学時代に取得出来た検定こそが、私に経理部を結びつけた要因らしい。



「う、運が良いのかもしれませんね…私って?」


整った顔を崩してまでの呆れた物言いに、苦笑と自虐交じりで返したというのに。




「否定は出来ない」


「…ヒドイです、課長」


ムダを省いたような一言限りの返答は、ソレすらピシャリと撥ね退けるから凄い。



全面的におバカな私が悪いと言っても、流石にココではフォローが欲しいよ…。




「とにかく、“コレ”の訂正頼んだよ」


「っ、ハイ…」


だけどまた溜め息をついた課長から、ズシリと重い総勘定元帳が差し出されると。



実に端的かつ冷静な口調で渡されたモノが、瞬時に私の心を温めてくれるの。




すっかり周りに知られた、私の大切なステディの曖昧さに翻弄されながら――…




< 3 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop