アイ・マイ上司とlove★battle


だけど…金曜日の今日はお休みして、そのまま別の部署へ月曜から出社だなんて。



今さら虫が良すぎるけど、やっぱり私たちの顔なんてもう見たくないよね…。



「…鈴、感傷に浸ってるトコ悪いけど。

誰も傷つかない恋愛は本物じゃないわ」


「涼子・・・」


申し訳なさで一杯の私を窘めれば、自席から空いていた私の隣席へと替わってしまう。


「大体ね…“昔の男”ぐらいで今ドキ辞める訳ないわよ。

笹森さんだって、自分からシステム企画部へ異動志願したんだから。

そもそも、あの女が男ひとりで崩れるほど弱く見えた?

出来たキズはいつか治るように。オンナの意地も強いのよ!」


「そっか…、私も頑張る!」


朝イチから落ちかけたテンションを、すかさず上昇させてくれた彼女に感謝だね。




「フッ…、その方向性を間違わないで欲しいけどな」


「か、課長…」


笑い声とともに背後から漂ってきたのは、ふわりと大人のオリエンタルな香りで。



話に夢中だったせいか、コツ、コツ…と鳴り響いていた革靴音を聞き逃したようだ。



「そう仰る課長こそ、“以後”お気をつけ下さいね」


私がドキドキ胸を高鳴らせている間に、涼子はニヤリと笑ってキツイ一言を放った。



「ご忠告サンキュ」


「いいえー、あくまで“鈴のため”ですから」


何となくだけど…、涼子が輝タイプの男性を毛嫌いしてた理由も昨日で分かったから。



ハハ…と苦笑する輝の表情がやたらと可愛く思える私は、これも役得だよね?



< 79 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop