素敵な片思い
なんだ、つまんない。


「つまんなそーなカオすんなよ。ま、相原も早くオトコ作れよ?ボーっとしてたら、あっちゅー間に三十路だぜ」


「うるさいー」


だんだんムカついてきた。杉浦くん、調子こいてんじゃないわよ~?


「ははっ。んじゃ、週末ヨロシク。車はオレが出すからさ。途中フェリー乗るけど、船酔いしねぇ?」


「うん、大丈夫」


「わかった」


杉浦くんはにこっと笑うと、チケットをまたポケットになおした。


そうやって笑ってれば、爽やか好青年なのになぁ~。


無駄口がすぎるよ。


立ち去ろうとする杉浦くんを、思わず呼び止める。


「杉浦くん!」


「ん?」


「昨日の事。…誰にも話さないでよね。その…杉浦くんが抱きついてきた、とか」


私がそこまで言うと、杉浦くんの口元が少し緩む。



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