好き過ぎて
海へ
ザザーッ......



誰もいない、海岸に一人。

静かで、波音だけが聞こえる。



昔、柚姫とよく来ていた。
楽しかったな。
砂のお城を作ったり。
水かけあったり。



俺は、思い出に浸りながら、海へ一歩一歩歩いて行った。

夏なんて過ぎてるし、今は夕方だから、気温が下がっていて、海水は勿論冷たい。

でも、俺は前に進む事をやめようとはしなかった。

一歩一歩、ゆっくり前に進み、いつしか海水は、俺の肩ぐらいまで来た。



もう少しだ。
もう少しで、お前の所に行けるよ......?
柚姫......



そういえば、いつも柚姫と海に行く時に、誰に聞いたのか、毎回和哉がついて来てたよな......

そして二年前も......



「そうだよ......だから、柚姫は大丈夫だ。俺がついているから。」

......和哉......?

次の瞬間、俺はいきなり発生した巨大な波に飲み込まれた。
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