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第3章 アイツの看病生活


女を看病し始めて早くも
一ヶ月が経とうとしていた




事故があったあの日から
というもの単調な生活を
送るようになった





朝は
いつもの時間に起きると





食パンをトースターで
焼いてバターを乗せて
二枚ほど食べる




そして
歯磨きを済ませると





通勤ラッシュの電車に
乗り込んで会社へ





会社では
女の治療費を稼ぐため





いつもより
一生懸命に働いた






残業を済ませると





コンビニで弁当を
一人前買う





弁当が入った
コンビニ袋を片手に
病院へと向かう




病院では
もうすっかり
看護師たちとは顔見知りだ




病院の
エレベーターに乗ると





薄暗い廊下を歩き
女がいる病室へと向かう





病室に入ると
女の身の回りの
世話をしたり





同じ病室の
事故に遭ったあの男や





男の家族に
挨拶をしたりする





男は
手術で縫った
頭の傷口も塞がり





あとは手足の骨折が
治れば完治するらしく





今週中にも
退院する予定らしい





それに比べて女の方は





女を看病するはずの
家族や彼氏も一度も
病院にやって来ないし





一ヶ月
目を覚まさないし





体もぴくりとも動かない





女に繋がれている
心電図の





『プ……プ……プ』
という音しか





女は生きているという
ことが実感できなかった







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