ダイヤモンド・ヒーロー




ゆっくりと、封を開ける。


今年はピンクの水玉模様の、可愛い封筒。

去年は、いちごのショートケーキが映っている封筒。

一昨年は、青空の封筒。


毎年、毎年違う封筒を使ってくれる、湊人の心遣いが嬉しくも――― 少し、切ない。


封を開けると、一枚の便せん。


どうせ、今年も“誕生日おめでとう”だけだろう。


そう思いながら、半分に折られた便せんを開いた。




「――― ッッ」


湊人のバカッ。

どうして、こんなことを書くの?

どうして……。 あたしを嫌いにならないの?

ねぇ、湊人……。 どうして、なの?


便せんに書かれている文字が次第ににじみだした。

そして、あたしの手はブルブルと震える。




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