ダイヤモンド・ヒーロー
グラウンドを抜けて、俺は“被服室”に向かった。
ガラガラッとドアを開ける。
「おめー、今日もやってんのか」
「あっ! 昨日の人だ」
被服室内を見回したが、先生は居ない。
要するに。 美山はサボりたい放題って事だな。
「ねえねえ! 今日は“試合”やらないの?」
イスを一つ引き出して、座った。
俺が座ったのを確認すると、美山も俺の隣に座る。
「毎日、毎日やらねーの」
今日は普通の練習。
たまに時間があったら、1軍と2軍で試合をする程度。
でも、今日は。
「みんな疲れているだろうから、あと1時間で練習を終わらす予定」
「そうなんだ」
美山がやり掛けであろうエプロンにそっと視線を移す。