キミの心の声を聞かせて


自分の心の声を話した高津洋子は、なんだかスッキリとした顔で


「じゃあ、またね」と手をヒラヒラさせて帰っていった。



その後ろ姿を見送ったあたしの心は、なんだか爽やかな風が吹いた感じがした。


誰かと向かい合うことは、正直コワイ。

誰かと向き合うことで、自分がもっと傷ついてしまうんじゃないかって…。


そう思って逃げていたのかもしれない。

結局は、あたしも、そうやって自分の事を守っていたのかな…。


傷つくことを恐れて、分かり合おうとしなかった。



そんな自分が、なんだか情けなかった。

これからのあたしは、もう少しだけ前を向いて歩いていけるかな?



「帰るか、智樺」

「帰ろう、智樺」


そう言って微笑んでくれる雄大と美紀。

2人の間に飛び込んで見上げた空は、なんだか希望の空に見えた。



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