えがおのしずく。
そのときだった。

風が吹いた。

強くて冷たくてあたしの頬をひんやりと冷やす。

あたしは驚いて目を閉じた。

ゆっくり目を開けると何か白いものが降ってきた。


「雪…?」


あたしはその雪を手の上にのせる。


「なんで…もう三月だよ。雪なんて降るわけないのに…」


あたしはユキのお墓の方を向く。

そこにはさっき置いた白い小さな花が見えた。
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