一匹狼と天然子羊
ギクシャクするこの気持ち

次の日になり、弘人くんが教室に入ってきた。


弘人くんと私は、偶然にも隣同士になったのだ。


私は弘人くんに場所を教えてあげた。


「弘人くん、ここだよっ!」

「あ、お前昨日の……」


弘人くんは驚いたように私を見ている。


「芽衣だよ、忘れたの?私達隣同士だから宜しくねっ」


弘人くんは“ああ”と言うと席についた。


授業が終わり、昼休み。

私は弘人くんにくっついていた。


くっつくというか、ついていったと言う方が正しい。


「何でついてくるんだ?俺は1人が好きなんだけど」


いきなり立ち止まり、聞いてきた。

ぶつかりそうになったが、ギリギリぶつからなくてすんだ。


「私は皆といる方が好きっ!」


「そんなこと聞いてねぇし。何で付きまとうんだ?」

「別にぃ」

「はぁ。あ、分かった。俺の事好きなんだろ?」

「えっ……」

突然そんなことを言われ、驚いた。

弘人くんはもう一度溜め息を吐いた。


「真に受けんなよっ」

そう言い、弘人くんはスタスタ歩いていった。


私も追うように弘人くんについていく。


私の目的は猫だ。

別にそんな気持ちはないと言えば嘘になるが、溜め息を吐かれた事にちょっとだけショックを受けた。



私が猫と戯れている間、弘人くんはずっと空を見上げて寝転んでいた。
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