メガネの裏はひとりじめⅠ



だけど、僅か一瞬。

小さくフッと笑みを零せば、何事もなかったかのようにオムライスをぱくっと食べる道留君。



…え、無視?シカト?



何度目かもきゅもきゅする道留君をムッとしながら見つめる。瞳に鋭さを孕ませて。



てーか…っ!


シカトの仕方が堂々すぎる。カチン、ってきちゃったよ。微笑むだけとかルール違反!!



『道留君!アンサー!』

「発音がダメだね。」

『(ムカッ。)アメリカ人じゃないもんあたし!こーたーえーてーっ。』

「…、…はぁ…。」

『…、』



意味、分かんない。タメ息なんか吐かないでよぉ…。



瞬間的にうりゅ〜っと浮かぶ涙。



うん、あたし、かなりうざかったよ?自分でもちゃんと分かってる。でも、知りたいんだもん。道留君のこと…。



だから。無意識に零された小さなタメ息だけで悲しくなって。涙が浮かぶ、けど。これ以上面倒くさい女は嫌。



グッと白くなるまで唇を噛み締めて涙をこらえる。



と。


「可鈴、あーん。」

『え…、んっ、』

「美味いだろ?」

『っ、』


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