憎悪の視線
「広子、お腹の中にいる赤ちゃんのためにも、食事くらいきちんと摂らなきゃ。そうだ、気分転換に私が行きつけの占い師さんのところへ連れて行ってあげる。そこで、誰にも見られてないってことが分かれば少しは安心でしょ」


 私を心配した百合子は、よく当たるという占い師のところへ連れて行ってくれた。 

 占い師がいると云う場所は、最寄の駅から少し歩いたところにある雑居ビルの四階だった。昭和の風景を思い起こさせる雰囲気で、そのフロアだけが別世界に見える。


「昭和に建てられたビルなのかしら? それにしても百合子、どうしてこんなところに占い師さんがいるって知ったの?」


「あぁ、そのことね。実は私の彼氏から教えてもらったのよ。一度見て貰ったらね、それが当たるのよ。それからは結構通ってるわ」


 百合子は嬉しそうにそう云った。

 百合子の彼氏といえば、私はまだ会っていない。確か、今転勤してるんだったかしら。
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