キミが居た病院

「汚くなるから紙は貼れないけど、五十嵐さんが退院するまで布で隠すことなら出来るよ?」


 優香は無言で頷いた。

 とにかく鏡が隠れるならなんでも良かった。

 むしろ、鏡の無い部屋にしてほしかった。


「じゃぁ、ちょっと待っててね。お昼までまだもう少しあるから寝ててもいいよ」

 深く聞いてこない彼女の気持ちが嬉しかった。

 その反面、話せない事が申し訳なく感じ、自分に少し腹が立った。


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