結婚事情
そんな優柔不断な気持ちを抱えながらも、夜になるとナオの胸に抱かれていた。

ただ、最初に抱かれていた時とは違う、体の違和感を少し感じていた。

今、自分の中にある不安感から来るものなのか、もしくはタツヤの影響なのかは判断つかなかったけれど。


「今日はなんだか元気ない?」

ナオが私の髪をなでながら聞いてきた。

「そうかな。」

そうだってわかってるのに、白々しく応えた。

「やっぱり僕の両親に会うことに、まだ抵抗があるかな・・・」

ナオは優しい声で言った。

「そんなことはない。せっかくの機会だし。」

「じゃ、別のことで何か悩んでる?」

「・・・。」

「・・・結婚?」

ナオの手が一瞬止まった。

今、ナオに正直に伝えるべきだろうか。

でも、もし伝えてしまったら、ナオはどう思うだろう。

ここまで親密になっておいて、それはないだろうって軽蔑するかもしれない。

どうして、もっと早く相談してくれなかったのかって怒るかもしれない。

もし、ナオと結婚するんだったら、そんな話しなきゃよかったって私が後悔するかもしれない。

しばらくだまっている私の手を、ナオはそっと握った。

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