SOUND・BOND
「お!この子が真空ちゃん?可愛いね」
最初に声を掛けてきた男に重なって気付かなかった。もう一人がひょっこりと現れ言う。彼の方も小柄で部類にいれるとすると可愛い系におさまるだろう。
この3人はもちろん、秋司と薫季と光だ。
しかし、陸燈だけは全くの初対面だったため、彼らが真空のことを知っている台詞を吐いたことに驚いていた。
「真空?知り合いか……?」
妹を振り向くと、その小さな顎は引いた。
「ライブハウスで助けてくれたお兄ちゃんたち」
「助けてもらったって……?」
真空の視線は彼らから陸燈に移る。
「怪我をした時にタキさんが背負ってくれたの。それからライブは3人で見たんだよ。……でも、こっちの人は知らない」
真空は小柄な少年?を指差して首を振る。
ああ、だからあの時最前列に居なかったのかと、数時間前のことを陸燈は一人で納得してすっきりする。
「こっちの小さいのは光。俺たちの仲間でさっき合流したんだ」
「AKI、小さいのはは余計だろっ」
陸燈の目から見ても彼が一番小さいと思うのだが、彼にはそう言われたくない理由でもあるのだろうか。
「世話をかけましたね。それで、まだ真空に用でもあるんですか?」
雨がさっきよりも酷くなってきた。陸燈はギターケースを持って立ち上がると、星の見えない空を見上げてから秋司と薫季、そして光に視線を合わせる。