SOUND・BOND


「本当だってば!」
 

どうして信じてくれないのかと懸命に訴えかけてくる少女は、やはり子どもだからか、嘘を隠しきれなくて少しぎこちなかった。


「じゃあ、もうひとつ教えてあげようか。人がいっぱいいるところでは、こんなに擦れるほど転べないんだ。人に当たってクッションになるからね」
 

もちろんこれはほんの可能性の一例にすぎない。それでも小学4年生に真実を喋らせるには効果覿面だった。
 
真空は観念したように顔を曇らせ、


「ちゃんとお兄ちゃんの演奏、前で見ようと思ってたの……」

「うん」

「そうしたら、知らない女の人にいきなり突き飛ばされて……足、痛めたの……」
 

真空の目に、僅かに浮かんできた涙を軽く拭ってやる。


「突き飛ばされたのには理由があると思うけど……言えるか?」
 

真空は小さく頷く。


「真空が、お兄ちゃんって言ったから……。あの人、嘘つくなって……。嘘なんかついてないのに」
 

最後は泣き声に変わり、ぎゅっと兄の首に縋りつく。
 
その小さな体を陸燈は優しく包み込み、震える背中をゆっくり撫で付ける。


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