別れ屋


「比亞!ちょっと話があるんだけど」

「…どうしたの、加奈ちゃん?」


それは放課後の教室。
比亞のいる1組にずかずかと加奈が入ってきた。
比亞と加奈以外中には誰もおらず、窓に差し込む太陽の光だけが教室を明るく照らしだしていた。


「この頃早紀おかしいと思わない!?」

「…教室で一人だったけど…携帯見てそわそわしてた」

「やっぱり!?絶対何かたくらんでるわ!!」

比亞の机にダン!と手を思い切りぶつける。

「比亞!早紀のこと調べてきてよ!!」

「え…でも私今日塾が、」

「友達でしょ!?」

「…わかった」

「明日までに絶対調べてきてよね!」

「…」


比亞は下に俯きながらかばんの中に問題用紙をしまい込んだ。


―そういうことね…


それを一部始終教室の前で耳を澄まして聞いていた愛華は比亞がだと理解した。

もう話も終わりだろうとその場から離れようとした瞬間


「お!?園原ではないか!!どうした?忘れ物か?」


タイミング悪く1組の担任である柳が声をかけてきた。

―お前かよ!

「まあはい。でもやっぱり大丈夫そうなのでいいです。」

「そうか!おき勉はだめだぞ!」

「…はい」


できるだけ早くその場から立ち去りたかったため、方向を変えて歩き出そうとしたが


ガラガラッ


加奈が教室から出てきた。

「あ、先生こんにちは」

胡散臭い0円スマイルを柳にむける。

「おお!」

―うわ、最悪。早く帰ろ。

「あ、ねえねえ!一緒に帰らない?」

そしてその0円スマイルをそのまま愛華へと方向を変える

「…はあ」


―本当に、最悪だ。



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