純愛ワルツ
「…ん…」



漏れそうになる声を抑えながら、1人で泣いていると


胡桃がゆっくりと起き上がった。





「…胡桃!」


「………」




咄嗟にベッドに近寄ると

胡桃は俺の顔を見て首を傾げた。





「怒ってるんだよな。分かるよ。

…ごめんな。伝わるワケなかったんだ。だって俺…胡桃に何も伝えてない。本当にごめん…」




不安がられて悲しいだなんて

その要素を作った俺に想う権利はない。




でもこれからは
ちゃんと伝えるから

こんな俺を許して欲しい。







「…胡桃」


「誰…?」


「…え?」




胡桃は目を擦りながら俺を見る。





「寝ぼけてんのか?俺だよ、茜」


「…あか、ね…ぇ?」




胡桃はう〜ん?と首を捻る。




…え?何?





「そんなに怒ってんのか?…なぁ、謝るから…ふざけてないでちゃんと…」




堪らず胡桃の肩を掴むと

胡桃はビクッと体を震わせた。




まるで見知らぬ男に言い寄られた女の子みたいに。
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