純愛ワルツ
高山くん…


失恋した上に私にまでフラれたなんて


大丈夫なのかな?





でもフってしまった私が心配するのはお門違いだよね。





「あら、いつかの可愛い子ちゃんじゃない。偶然ね」




水着から服に着替えていると、胸元がガッポリ開いてお尻にビキニが食い込んだセクシーな水着を着た女の人が立っていた。




…この人…





「茜くんといた方ですよね」


「覚えててくれたんだ。胡桃ちゃん…だったかな、修学旅行か何か?」


「はい、そうです。お姉さんは旅行ですか?」




こんなセクシーな水着が似合うなんて羨ましいな。





「私は天音。そう呼んで。うん、旅行で来たの」




天音さんかぁ。


名前まで綺麗。




それに気さくで優しそうな人。





「そうだったんですか。彼氏さんと来たんですか?」


「うん、茜とよ。じゃあね」




天音さんは妖艶な笑みを浮かべて去って行った。






…………え?



茜くん…と?






「胡桃?どうしたの?」





2人で来たの?


やっぱり付き合ってるの?





でも茜くん

しおり見てた時、同じ日にちに沖縄行くなんて一言も言ってなかった。





私なんかに言う必要なかったってこと?






「胡桃ってば!」


「…あ…。ごめん、香織。どうしたの?」


「もうリサ着替え終わって先行っちゃったよ?あんたも早く着替えなさい」


「…うん、ごめん」





不思議と涙は出なかった。




きっと、茜くんと天音さんが一緒にいる所を見てないから

信じられてないんだ。





天音さんは嘘つくような人には見えないけど




お願い、神様…



嘘でありますように…。
< 57 / 144 >

この作品をシェア

pagetop