僕のキモチ...
出会いにピアノ
◆僕は歌手になりたかった。

 この自慢の歌でみんなを

 幸せにしたかった。
 
 そして何より、自分が幸せに

 なりたかった。
 
 ただ、それだけだった。
   
 でも僕は歌手にはなれない。

◆そう、絶対に。






桜がヒラヒラと舞い落ちる

この季節。

今日は、まちにまった高校の

入学式。

はやまる鼓動をおさえながら、

家をでてすぐ近くにある高校へと

足を運ぶ。

高校に向かう途中、

近所のおじさんが声をかけてきた。

「今日から1年生かい?」

笑顔で僕に訪ねてきてくれた。

「うんっ!」

普段の僕なら、人見知りという

性格のせいで、口がつまって何も

言えなくなるが、今日だけは

特別だ。

「そうかい。がんばっておいで。」
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