あの音をもう1度
「あ。やっぱり?
いやぁ~、奏見たらそんな気がしてさ。カマかけた」
・・・
涼太のおどけた言い方に一瞬、目が点になった。
カッ…カマぁぁー!?
じゃあ、あの冷たい目は演技!?
怒るどころか涼太の洞察力と演技力に脱帽してしまった。
「・・・・少しは緊張解けたか?」
えっ…?
顔をあげると、そこにはさっきとはまた違って穏やかな涼太がいた。
「奏、ここ最近表情硬かったから。来てみれば案の定、立ち止って震えてたし」
涼太はそっと私の手をとって自分の手と重ねた。