飴色蝶 *Ⅰ*
庵は、前に座って
髪を掻き揚げた麻子の
手首に光るブレスレット
に目を止めた。

「そのブレスレット
 綺麗だね、見せて」

麻子が差し出した
細い手首に、彼は触れる
 
そして、ブレスレットを
クルクルと回す。

キラキラと輝く

ブレスレット。

「綺麗だね」

麻子の表情が今まで一度
も私に見せたことの無い
女の表情に変わった瞬間
を見てしまった私は

ぞっとした。
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