飴色蝶 *Ⅰ*
翌日、庵は、早朝から会長に
呼び出されて彼の住まいへと
顔を出した。
  
堂々とした門構え、立派な庭に
大きな屋敷の玄関先に立つ。

「朝から、すまないな
 まあ、あがれ
 飯は食べたのか?」

「いえ、朝は食べないので」

「そうか、誰も部屋に
 来させないようにしてくれ
 任せたぞ」
  
「はい」

閉まるドアの前に立つ、組員。

「どうだ、シノギは・・・」

「まあ、何とか」

「伊納(イノウ)の実子
 ガキが跡を継いだらしいが
 何も変わりは無いか」

「今のところは、特に何も」
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