飴色蝶 *Ⅰ*
ホームに入ってくる電車の音に
ハッと我に返った私は遠い昔

この場所で同じような情景を
見ていた事を思い出した。

あれは下校時

今と全く同じようにベンチに

深く腰を降ろす

庵の姿を私は見つめていた。
 
彼は眠っているのだろうと

私は思った。

今なら分かるよ・・・

あの時の貴方も

今と同じように

たった一人きりで

悲しみに打ちひしがれて
いたのだろう。
  
本当の貴方に気づいて
声をかけてあげれば良かった。

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