飴色蝶 *Ⅰ*
庵は、酒に手をつけることなく
初馬に聞いた。

「残ると決めたのに、どうして
 組を抜けたんですか?」

「兄貴のいない高月組に
 何の未練も無い
 
 兄貴が組をやめて一番喜んだ
 のはショウ、今の会長だ

 目の上のたん瘤がいなくなり
 弟と言うだけで跡目に
 持ち上げられて

 アイツが今あるのは
 イチヤの兄貴の子分が支えて
 いるからであって
 アイツ一人じゃ到底、組は
 ・・・・・・」
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