飴色蝶 *Ⅰ*
「だって、会長さんの話が本当
 か、どうか知りたくて」

「知ってどうですか

 イオリは?」

「とっても、綺麗・・・」

彼女の手が、庵の頬に触れた。

庵は薄々、先代、正二が
何を考えているのかが分かった
 
相手方と盃を交わす代わりに
娘である彼女と一緒になれと
いう寸法だろう。

「盃の件
 
 よく考えさせて頂きます」

庵は、その場所を離れた。

ちょうどその頃、私は更紗に
呼び出されて、いつもの居酒屋
へと足を運んでいた。


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