飴色蝶 *Ⅰ*
「すみれ、今日は仕事休み?」

私は、黙ったまま頷いた。
 
「何か、用事あるの?」

「ううん、何も無いよ」

庵は何かを考えて、携帯を
手に取り、誰かに電話を
かけている。
  
私は、ちゃんと分かっているよ

貴方と、一緒に過せるなんて
思っていない。

昨夜、逢いに来てくれただけで
  
それだけでいいよ。

「もしもし、カナメ、俺だ
 何か変わった事、あったか?
 そうか、じゃあ
 夜、そっちに顔出すわ
 
 それまで今日は、すみれと
 過すよ

 何かあれば、連絡くれて
 構わない、分かってるよ
 目立つ行動はしない

 じゃあ、後で」

庵は、携帯をテーブルに置いた
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