飴色蝶 *Ⅰ*
凍りつくような冷たい視線
を受けて、動けない私の元へと
庵が駆けて来る。
   
庵を取り巻く男達の多さ
その誰もが、全身から放つ独特
の雰囲気、凄さ、険しさに
私の体は震える。

小鳥の高い声が囀る、いつもの
陽気な見慣れた風景に、重低音
が歪む音が支配する暗い世界が
広がる。

一変する世界・・・

私は、これが現実なのだという
事を痛い程に思い知らされた。

驚く私の目を隠し、庵は
後ろを向かせる。

そこには、いつもと変わらない
風景が広がる。

震える声で、私は聞いた。

「ねぇ、イオリ

 何が大丈夫なの?」

あんなに大勢の男達が、貴方を
守る為に動いている、それは
それだけ貴方に危険が
迫っているという事。
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