飴色蝶 *Ⅰ*
「そうだ来週、スミレの誕生日
 でしょう?
 サラサが、何かおいしいもの
 を三人で食べに行こうって
 ・・・・・・
 もしかして、スミレ
 自分の誕生日、忘れてたの?」
  
「完璧に忘れてた」

「じゃあ、イオリさんには
 まだ・・・」
 
「うん、話してない」

「いつもは逢えなくても
 我慢してるんだもの
 誕生日ぐらいは
 遠慮しないで、一緒に
 過してもらいなさいよ」

「うん、後で話してみる」

三人で朝食を済ませた後
雪乃に別れを告げて
私と庵は一緒に、部屋を出た。

「そう言えば、イオリ
 朝は食べないって
 言ってたのに、全部
 残さずに食べてたね」
  
「残すのは嫌いなんだ」

エレベーターを待ちながら
話をしている間も、庵は
しっかりと私の手を
繋いでくれていた。
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