飴色蝶 *Ⅰ*
「すみれ・・・」

「イオリ、じゃあ
 ひとつだけ聞かせて
 
 いつになれば
 抗争は終わるの?」

「それは、俺にも分からない」
 
「分からないのに、私は何を
 分かればいいの?
 
 貴方に逢えない日々を
 私はずっと貴方の事を心配
 しながら暮らすの・・・
 
 そんなの耐えられないよ
 毎日、逢いたいなんて
 今は言ってない
 ほんの少しでさえも
 駄目なの?」

庵は、取り乱す私を抱き寄せて
耳元で言う。

「すみれ、聞いてくれ
 俺だって、お前に逢いたい
 だけど今は逢わないと決めた
 
 毎日、ちゃんと電話するよ
 今まで、一度も忘れたこと
 無いだろう」

私は、頷いた。
 
私がどんなに願っても、貴方は
一度決めたことを変えるような
人じゃない。
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