飴色蝶 *Ⅰ*

あんたの望み

庵の傍に近寄り、耳元で
朱莉は囁く。

「いらっしゃい、イオリ
 ショウさんが上機嫌で
 待ってるわよ
 あの綺麗な女性は誰なの?」

「会澤組組長の娘」

「あいざわ組って、あの会澤組
 敵対する組のお嬢さんが
 どうして・・・」

朱莉の肩に手をのせて二度軽く
叩いた後、庵はその席へ
近づいて行く。

・・・・・・

二人は、ひとつになれたけど

彼の言葉が私に重く圧し掛かる

「遅いぞイオリ、トモエさんが
 お待ちかねだぞ」

「先代、今日は・・・
 幹部は、どこに」

「皆、帰らせた
 トモエさん、イオリに
 会うのは、これで・・・」

「二度目です」

「さあ、イオリ、座りなさい」
 
半分、怒った表情の庵は
しかたなく、巴の隣に座る。

「大事な話って、コレがですか
 先代、今がどういう状況か
 ・・・」
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