飴色蝶 *Ⅰ*
雨の中、二人は話す。

「彼が、会澤組組長と盃を
 交わし、組長の一人娘
 トモエお嬢様と縁組みを
 行えば、高月組は
 未来永劫に安泰
  
 今後、彼は、抗争に
 巻き込まれる事は
 まず無いでしょう
  
 この辺りを牛耳っている
 二つの勢力がひとつになれば
 もう他の組の雑魚は誰ひとり
 歯向かう事はできなくなる」

「イオリが、その女性と
 一緒になれば
 抗争は終わるの?」

「簡単には、そういう事です
 政略結婚如きで抗争が終わる
 そんな馬鹿げた事が
 この社会で起こるなんて
 この俺さえも思いも
 しなかった
 
 しかし、会澤組の組長は
 高月 庵の男気に惚れ込んで
 います、自分と互角
 それ以上に強かった、高月組
 初代組長の高月一夜の実子で
 ある彼を、どうしても組長は
 手に入れたいのです
 
 またトモエ・・・
 トモエお嬢様も、彼に
 惚れ込んでいます」

「私が身を引けば
 イオリは無事なのね」

「彼は、会澤組と契りを交わす
 事を拒否しています
 それはきっと、貴女が原因」

私が・・・原因。
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