飴色蝶 *Ⅰ*
移動教室から戻る私に
窓越しに、声をかける
親友の更紗。

「スミレ
 今日、帰りに
 カラオケ行かない?」

「いいよ
 サラ、後でね」

何かを思い出して
慌てて教室を出た更紗は

私の腕を掴んで耳元で
呟いた。
 
「ここだけの話だけど
 彼氏がイオリ先輩を
 カラオケに連れて
 来てくれるって
 
 確か、スミレ
 好きだったでしょう」

私は、憧れの先輩と
過ごせるかもしれないと
いう喜びに

つい、大きな声が
出てしまった。
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