飴色蝶 *Ⅰ*
「彼の中は
 もっとドロドロと
 黒く汚れている
    
 イオリは
 あんなに綺麗な顔を
 しているけど
 
 あれは
 本当の姿じゃない
 
 彼は、お金の為なら
 何だってする
 
 彼には、どんな事を
 してでも

 守らなきゃいけない
 人がいるの」

「どんな事をしても」

「彼にとって本当の恋愛
 は、邪魔になるだけ
 
 彼は
 誰も本気で愛さない」

この時、麻子は

こう言ったけれど

私は後に彼が、ある女性
を愛して、彼女に夢中に
なる様を間近で

見つめることになる。

私は、今の彼を

見つめていると

この胸が苦しくなる。 

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