田舎姫と都会王子
「おはよう、小梅、要くん。」


朝ご飯の用意をしながら小梅の母親は俺達に笑顔を向けた。


「おはようございます。」


「要、昨日は俺の大事な小梅に手を出してねえだろうな?」


小梅の父親は、そう言って俺を睨んできた。


「出してませんよ。」


「本当か?」


親父はそう言って俺に顔を近づけて来るとプッと笑った。


「要、目の下にクマが出来てるな。手を出せずに寝れなかったわけか。」


小声で親父はそう言うと、今度はケラケラと笑い始めた。


「お父さん、要に何言ったっちゃ?」


親父が俺に言った言葉が小梅には聞こえていなかったらしく、小梅は首を傾げた。
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