前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―

XX. 攻め女講義





「いいか、空。今日こんにちの日本は男女平等が唱えられている。男は勿論、女も社会に進出し、何事も平等に共存しようという世の中となった。
確かに一部ではまだ男の方が高く見られることもあるが、女の地位も上がってきた。ここまで質問は?」



横目で顧みる鈴理先輩に俺は首を横に振った。


「宜しい」


先輩は話を続ける。


「実をいうとあたしは恋愛小説が大好きなのだ。書籍にしても、ネット小説にしても、ケータイ小説にしても、あたしは『王子』『俺様』『ドS』『鬼畜』『意地悪』、そういった単語に惹かれる。何故だか分かるか?」


大変危ない単語ばかりに惹かれるんですね。

ツッコミたいけど、今は質問に答える方が先だ。


「えーと。そういう人が現れて欲しいからっすか?」「不正解」「じゃあ、そういう話が面白いから」「不正解」「胸キュンが……多いから?」「まったくの不正解だ。出直して来い、空」


分かるわけがない。恋愛小説なんて読まないし。

答えられずにいると先輩が黒板をチョークで叩きながら熱く教えてくれた。


「あたしもそういう輩になりたいからだ。されるのではなく、したいのだよ、空。先程あんたは言ったな? 男前に台詞を吐くのも、腰に手を回すも、がっつくキスを仕掛けるのも、普通は男が女にやるものだと。一昔前まではそうだったかもしれん、が」


「が?」



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