前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



「空、所有物らしいカワユイことを言ってくれるではないか。なるほど、あたし以外の奴に肌は見せたくないのだな? うんうん、確かにあたしも他者に空の肌を見せるのは抵抗がある。よし、お前達、終わるまで壁側を向いとけ」 


にこやかに鈴理先輩がグラサン男達に命令したおかげで、男達は壁側に向かって正座。

俺は自分で自分の首を締める状況を作っちまったようだ。


どーしよう。

このまま全裸になるべき? ワイルドになるべき?


……上半裸にはなれる。

でもそれより下は駄目だろう。

俺はただの露出魔だろう。


変態だろう! 良いもんでもないだろ!


あっれぇ、頭が真面目にボーっとしてきたぞ。

八度もあるのに飛び起きたり、喚いたり、逃げたりしていたから、マジで限界が。視界がちょいぐらついている。


ボーっとしている場合じゃないって、早く対策練らないと、俺、先輩に食われちまう。

 
「さて、空。準備は整ったぞ」


うきうきしながら俺の寝巻きシャツと下着シャツをポイポイッと脱がせる先輩。


抵抗しなきゃいけないの分かっているのに、頭が重いという……成されるがままという……あ、冷たっ、今、鎖骨辺りを拭かれたような。

今は腕? うん、なんか、冷たくて気持ちが良い。


「うっ」

不意に首辺りを拭かれた。冷たさに声を漏らせば、先輩の手が止まる。


あ、首拭かれて、気持ち良かったのに……。


「空、あたしの理性を試しているのか? 試しているのだな。でなければ今のような嬌声はっ、嬌声はっ。あたしの理性は持って20秒。そろそろ限界が来ているのだが。
しかも空、先程以上に顔が熱で蕩けているぞ。冷たさで気持ちが良いのは分かるが……誘っているのか? お誘いか? 誘いプレイか?」


あー駄目だ。

先輩の声が途切れ途切れにしか聞き取れない。


何か言っているのは分かるんだけど……先輩、何か質問してきたよな? えーっと確か……。


「先輩……気持ちいい。もっと」
 

拭かれた場所、めちゃめちゃスーッとするし、べたついた肌がさらっとなったって感じ。


だけど先輩は俺の返答を聞いた瞬間、身悶えた。

あらんばかりにタオルを握り締めて体を微動させる。



< 130 / 446 >

この作品をシェア

pagetop