hiding

love

「ごめんね、待った?」
「いや、今来たところ」

季節はもう夏になろうとしていた。蓮君はプロサッカーチームで毎日汗を流し、私は私で大学が忙しかった。

やっと時間を見つけてデートが決まったのが今日。久しぶりにあった蓮君は大人っぽくなっていて、やっぱりキラキラしている。

「…暑かったでしょ」

蓮君の額に滲んだ汗に気付かない私ではない。蓮君は結構前に来ていたに違いない。

私がハンカチで額をぽんぽんと拭うと、蓮君は少し頬を赤らめた。

「少しは俺に格好つけさせろよ」
「ふふ、蓮君は充分格好いいよ」

デートでやって来た場所はやはり遊園地。懐かしくて笑みが零れる。

「ねぇ、あれ乗ろうよ」
「おぅ!!乗ろうぜ!!」
「絶叫マシンな!!」

「!?」

懐かしい声がして振り返ると、大好きな人達が勢揃いしていた。

「菜々子!!それに、葵君、先生、紫陽君!!」
「何でまたお前らがいるんだァァ!!」

私の歓喜の叫び声と蓮君のツッコミが重なった。毎度毎度デートを邪魔されてちゃ、蓮君もツッコミたくもなるよね。ご愁傷様。

「邪魔しちゃ悪いとは思ったけどよ」
「また皆で遊びたかっただけなんだ」

口々に弁明する彼らが何だか可笑しくて愛らしかった。
< 66 / 67 >

この作品をシェア

pagetop