青蝶夢 *Ⅰ*
愛を知る

赤い唇

お洒落な町並みに

不釣合いな私。

ボサボサの髪を後ろで
一つに束ね、化粧どころか
リップさえもつけずに
素顔のままで、男物の
上着を身に纏う。

そんな、お洒落でも何でもない
私に視線が集まるのは・・・

きっと、私の両隣を歩く
二人のせい。

魅力的な男性を従えて、彼らに
いろんなお店のショップバック
を持たせて歩く私を
行きかう人々は見つめる。

お洒落なショップ内で着替えた
洋服を、そのまま着用してお店
を出る私は、手に持っていた
芳野さんに借りた上着を羽織る

「お前
 それ、着るの?」

「はい、変ですか?」

「いや・・・」

ジーンズ姿に、羽織る
男物のミリタリーコート。
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