青蝶夢 *Ⅰ*
困っている、伊吹さん。

「でも、今日は
 ヨシノも帰って来ない
 
 ヒイロを、この家に
 一人にはできない
 
 ごめん、カヤノ」

彼女は、その返答に
露骨に不満そうな顔
をする。

「そう
 じゃあ、私
 帰る」

「カヤノ?」

彼女は、私を見つめて
言う・・・

「フライトから戻って来て
 真っ先に、ここへ来たのは
 イブキの胸で安らぎた
 かったから・・・
 二人きりで過せないなら
 帰って寝るわ」

その目が、痛い。

「イブキさん、私なら
 一人でも平気です
 
 子供じゃないもの
 だから、気にしないで
 出掛けてください」
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