青蝶夢 *Ⅰ*
芳野は、背中を摩りながら
心配そうな声で問う。

「ヒイロ、大丈夫か?」

私は、頷く・・・

「私なら、もう平気
 顔を洗って、口を濯いだら
 すぐに席へ戻るから
 ヨシノ、貴方はお願い
 イブキの元に・・・・・・」

「ああ」

伊吹は、頭の中が混乱したまま
だったが、珈琲を淹れる為に
やかんを火にかけた。

席に戻る芳野に、伊吹は問う。

「ヒイロは?」

「大丈夫だ、悪阻らしい」

「つわり?・・・そうか」

「イブキ
 さっきも言ったように
 ヒイロは妊娠している
 腹の子は、俺の・・・・」
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